臓器移植法改正、3案再編探る 今国会議論へ

(2009年04月15日)

005102009年04月15日朝刊政治00400769臓器移植法の改正を巡り、14日、東京都内で移植推進派の患者団体などが開いた集会で、与野党幹部から臓器提供を増やす方向の改正に前向きな発言が相次いだ。自民、民主両党は13日の国対委員長会談で今国会で議論を進めることに合意しており、採決に向け、衆院厚生労働委の理事らの間で三つの改正案の再編を探る動きが進む。
衆院厚労委の小委員会で参考人質疑や論点整理をし、委員会の審議に移る見通しだ。
改正案のうちA案は本人の書面による意思表示の義務づけをやめ、子どものケースを含めて家族の同意で提供できるようにする。B案は年齢制限を現在の15歳以上から12歳以上に引き下げ、C案は年齢制限を変えずに脳死の定義を厳格化するなど開きがある。
渡航移植を規制する世界保健機関(WHO)の決議を5月に控え、子どもが国内で移植を受けられるよう年齢制限を緩和するかどうかが焦点の一つになりそうだ。そこで3案の再編の動きが出ている。
1カ月前、衆院厚労委の理事はC案提出者の一人に「A案とC案を一緒にした立派な修正案を作ってくれないか」と働きかけた。細田博之自民党幹事長も14日、「できるだけ最大公約数的な案を作ることが大事だ」と述べた。
ただ、A案には、親の虐待を受けて脳死になった子から親の同意で提供される懸念などから反対が根強い。検証機関の設置や脳死判定基準の明確化など移植の客観性や透明性を高めようとする規定があるC案との妥協点を探ろうにも、提案者らの溝は深く、修正を打診された議員は明確な答えを避けた。
B案を提案した斉藤環境相も14日の閣議後会見で「脳死を人の死とすることについてまだ社会が受容する段階にない。子どもの臓器提供について全面的に進めるには問題が残っている」と指摘した。理事らは修正を採決の前提にしたい考えだが、調整は難航しそうだ。
(南彰)