トリスタン・ツァラ「芸術に関するノート18番」(「ダダ1」)

(1917年07月)

芸術はいまのところ自己充足的な構造をもつ唯一の構造であり、それについてはもう何もいうことはない。芸術とはそれほどの豊かさ、生命力、意味、知恵なのだ。理解するには、ただ見ればよい。多くの芸術家達はもはやオブジェのなかや、オブジェの外界との関係の中に解決を見いだしはしない。彼らは宇宙的または原初的で、断固として、単純で、賢くて、真剣だ。今日の芸術家たちはじつにさまざまで、大きな自由と言う水晶の器のなかに圧縮されや噴水のようだ。そして彼らの努力は、ひとりでに形成される単純なイメージの透明性と構造の物質性の助けを借りて、純粋な世界の中で新しい透明な有機体を創造する事になる。彼らは伝統を継承する。というのも、過去とその発展は表面の現実をこえて蛇のようにゆっくりと彼らの内面の、直接的な諸結果へとおしやるのだから。

コメント