メル・ボフナー「誤解(写真の理論)」

(1970年)

blogger-image--1734581022.jpg

ボフナーは1970年に「誤解(写真の理論)」を敢行した。複製写真を1枚と検索カード9枚、それぞれに著名な作家の言葉の引用。それも手書きのものをつけて収めた。だが写真は逆説を含んでいた。「実寸(手)」と題されたこの写真は彼の以前の写真の複製で、もともとは自身の腕と手の写真を正確な実寸に手焼きした、彼の計測シリーズの関係にあるものだった。ところが、ここではそれが検索カードサイズに縮小され、もはや実寸ではなく、さらに焼きが陰画になっている。嘘をついているとも言えるが、むしろ「誤認」を誘うものと言うべきか。カーdにある引用についても同じことで、9種の引用文のうち3つはでっち上げだった。25年たった時点でもまだ、誰もどちらが偽の引用か突き止めておらず、ぼふなーはそれを大いに面白がっているが、真相を語ろうとはしない。彼にとって重要なのは、写真そのものではなく、写真と写真の使い方について考えることだった。写真を使ったほとんどのコンセプチュアル・アーティストにもこの姿勢は共通していたといえる。

コメント