マルセル・ブロータス「近代美術館、ワシ類部門、図像課」

(1972年)

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「近代美術館のワシ類部門はある発明をした、すぐ目につく形態としては、密閉された陳列棚、絵葉書、銘文といったものを編み出した。まさに無用物のごった煮としてのこの発明は、1968年に起こった事態と同じ特徴をもっている。つまり、あらゆる国が経験したあの政治的な事態と」これは彼が自宅で一年間公開し、ついで4年間はヨーロッパ数カ所の美術館で開催した展覧会の自筆の説明文である。骨董の壷の破片、ワインのラベル、絵画、漫画と言った、ワシの図像が使われたありとあらゆるものの展示で、それらがガラス・ケース、台座、壁に陳列された。200以上の陳列品の1つ1つにカタログ番号のラベルが付けられ、そこに「これは芸術品ではない」と書かれている。意図的なデュシャンのについても彼は、これみよがしの学者口調でこう記している。「R.Muttの署名付きの便器と言うか、廃品であれなんであれ、あらゆる事物は芸術の地位に格上げされうる。芸術家は、そのものの将来は美術館にしか見いだせないという方向で、事物の定義を決定する。デュシャン以来、芸術家は定義の創作者となった」カタログはすましこんだ代物だったが、展示はひとつの問題提起であると同時に、いうまでもなくコミカルな提案でもあった。