(回顧2014)論壇 戦争の歴史、「帝国」から問う 二分法と一線画す道(編集委員・塩倉裕)【朝刊】

(2014年12月30日)

“慰安婦問題で光ったのは、朴裕河(パクユハ)の『帝国の慰安婦』(日本語版)だった。植民地の故郷を離れ、日本女性の代替品として戦場に置かれた女性たちの重く多様な現実を考察した。
慰安婦は物理的に強制されたのか/それとも自由意思だったのか、君は愛国者か/非愛国者か――。そんな二分法の議論と一線を画していくための道を、「帝国」という概念を導入することで朴は示した。植民地出身の慰安婦は、帝国支配の被害者であると同時に帝国への協力者としての性格も帯びるという、複雑な立場に置かれていたのだ。”

“私の3点<高橋源一郎(作家)>
〈1〉朴裕河『帝国の慰安婦』”

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