宮坂昌之「BCGワクチンは、期待できるかもしれない。」(免疫学の第一人者)

(2020年04月08日)

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結核の予防接種で使われる「BCGワクチン」。

細い9本の針を刺す“ハンコ注射”といえば、
思い出す人も多いだろう。

このBCGワクチンが
新型コロナウイルスの感染を予防するのではないかと、
一部の専門家の間で話題になっている。

BCGは古くからあるワクチンの一つ。

わが国では現在、
公費でまかなわれる定期接種として、
生後11カ月までに
1回接種することになっている。

「国によって事情が異なり、
予防接種が広く行われている国もあれば、
一部に限られている国、
ほとんどされていない国があります。

興味深いことに、
BCGの予防接種を受けている国のほうが、
受けていない国よりも
感染の広がりが遅いことがわかったのです」

こう話すのは、
免疫学の第一人者で、
大阪大学名誉教授の
宮坂昌之医師だ。

この現象をホームページで紹介した
豪州在住のJUN・SATO(ジュン・サトウ)氏によるデータを基に
改めて独自に解析したところ、

感染の広がりだけでなく、
死亡率にも同様の傾向が見られたという。

「BCGを接種していないイタリアでは、
100万人あたりの死者数が217.4人。

これに対して
接種している日本は0.5人、
台湾は0.2人でした」

一方、日本と同じように接種している
ポルトガルの死者数は17.6人と高めで、

いまは接種をしていないドイツでは
11.3人と少なめといった例外もある。

だが、免疫の仕組みを踏まえても
「BCGは期待できるかもしれない」
と宮坂医師。

「昨年、オランダの研究チームが、
BCGワクチンが
自然免疫を高めることを突き止めたのです。

途上国でも、
BCGワクチンを打った子どもは
感染症の死亡率や重症化率が
下がることが報告されています」

免疫には、
生まれたときから持つ「自然免疫」と、
生後に病原菌にさらされて得られる「獲得免疫」がある。

自然免疫は
体に入ってきた病原体すべてに反応し、
排除しようとする。

つまり、
未知なるウイルスの新型コロナにも
免疫が働きやすいのだ。

BCGワクチンは
結核菌に対する獲得免疫だけでなく、
自然免疫も高める可能性があるという。

豪州ではすでに、
医療従事者を対象に
BCGワクチンの有効性をみる治験が始まった。

「BCGは
昔から使われているワクチンで、
安全であることは確か。

あとは、
どれくらいの量を打てばいいのか、
どんな人に効果があるのか
などの検証が必要です。

また、BCGは
子どもの予防接種のために
限定生産されており、
短期的には大量生産できません。

そのあたりも考慮すべきことでしょう」(宮坂医師)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200407-00000050-sasahi-soci

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