【日本川崎病学会】「川崎病の症状を伴う感染者は、日本国内では出ていない。」(委員34人からの聞き取り調査)

(2020年05月07日)

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英国、米国、フランス、イタリア、スペインなどの
欧米各国において、

川崎病に類似した症状を呈する小児例が
相次いで報告され、

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との
関連が指摘されている。

これを受けて、
日本川崎病学会は
5月1日~2日にかけて、

同学会運営委員56人を対象に
メールによる調査を実施し、

結果を
5月7日に公表した。

回答数は34件
(18都道府県、32施設)であった。

川崎病とは
1967年に発見された
乳幼児が罹患する
全身性の血管炎症候群。

・発熱、
・両側眼球結膜の充血、
・口唇・口腔所見(口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤)、
・発疹、
・四肢末端の変化(手足の硬性浮腫、手掌足底または指趾先端の紅斑、指先からの膜様落屑)、
・非化膿性頸部リンパ節腫脹

の6つが主要症状とされ、

5症状以上を呈する場合に
川崎病と診断される。

その原因は
いまだに明らかになっておらず、

細菌
あるいはウイルス感染、
スーパー抗原
(一部の細菌やウイルスが産生する
極めて強力なT細胞活性化蛋白質で、
多量の炎症性サイトカインを放出させる)、
自己抗原などを原因とする
様々な説がある。

調査結果では、

「2020年2月~4月において、
例年と比較して
川崎病の発生状況に変化はあるか?」

という設問に対して、

・減少19件、
・変化なし13件、
・回答なし2件

であり、
増加との回答はゼロだった。

同期間の
川崎病例の重症度
および重症例の発生状況(複数回答可)に関しては、

全37回答のうち
変化なし26件、
重症例の減少2件で、
合わせて75.7%に上った。

その他の回答は、
静注用免疫グロブリン(IVIG)不応例の増加5件、
動脈瘤形成2件、
高小林スコア(IVIG不応例を予測するリスクスコア)1件、
低月齢症例の増加1件。

小児COVID-19患者の診療の有無は、
なしが23件と67.6%を占めた。

ありと回答した11件が診療した患者数は
合計27人だったが、

全てが軽症・無症状で、
川崎病を疑う症例はなかった。

川崎病例の中で
COVID-19を疑う症状を示す患者が存在したかについては、

34件中33件がなしと回答した。

1件だけ、
急性期に肺野に浸潤影を認め
PCR検査を実施したが
結果は陰性とする回答が見られた。

自由回答では、
小児科外来
および入院患者数自体の減少や、
感染症患者・川崎病患者の減少を指摘する声が聞かれた。

また、
小児COVID-19患者を
多く診療している医療機関でも
小児の重症例の報告はなく、

川崎病に類似する症状も
認めていないとの意見も複数あった。

一方、
川崎病入院例では
全例に対して
血清保存とPCR検査を実施するようにした
という回答も見られた。

本調査の結果に基づくと、
欧米で報告されているような
COVID-19と関連する
川崎病に類似した症状を有する症例は
日本では認められていないようだ。

しかし、
欧米諸国と比べると
日本の感染者数は圧倒的に少なく、

今後
川崎病に類する症状を伴う
小児COVID-19患者が現れる可能性を
否定することはできない。

日本川崎病学会も

「川崎病とCOVID-19との関連については
その動向を冷静に注視し、
必要に応じ
全国調査を考慮したい」

としている。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202005/565460.html

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