【日経】コロナ感染死、把握漏れも 「超過死亡」200人以上か。

(2020年05月24日)

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新型コロナウイルスの感染が拡大した
2月中旬から3月までに

肺炎などの死亡者が
東京23区内で
200人以上増えた可能性がある。

同じ期間に
感染確認された死亡数は
都全体で計16人。

PCR検査で
感染を確認されていないケースが潜み、
把握漏れの恐れがある。

こうした「超過死亡」の分析に必要な
政府月報の公表は2カ月遅れで、
欧米の対応と差が出ている。

肺炎などの死亡数は、
国立感染症研究所が

「インフルエンザ関連死亡
迅速把握システム」

に基づき、公表している。

集計では
各保健所が
死亡診断書の死因のうち、
インフルエンザか肺炎を含む死亡数を入力する。

感染研が
過去の流行状況から推定した
「流行なしの死者数」と比較し、
統計的な誤差を超えた場合に
超過死亡と判断する。

■超過死亡

感染症が流行した一定の期間の死亡数が、
過去の平均的な水準を
どれだけ上回っているか示す指標。

インフルエンザの流行を評価するために開発された。

肺炎など
直接関連する死因で比べると、

持病で死亡して医師が
感染を疑わずに
検査していないケースも含め
流行の影響を推定できる。

すべての死因で比較すると、
外出自粛などの対策による交通事故死や自殺の増減を含め、
流行と対策が社会に与えた影響を総合的に推定できる。

国際比較の指標にもなる。

現時点の公表データによると、
超過死亡は
2月17日の週から
3月下旬まで5週連続で発生。

流行がなかった場合を
50~60人上回り、
計200人を超える。

感染研が定義する
「統計的な誤差を上回った死者数」という
超過死亡数でも
5週連続で20~30人程度に上る。

実数は公表していない。

超過死亡は
19年後半も発生。

インフルエンザの流行が早く、
東京都で12月上旬に
流行が拡大した影響とみられる。

年明けには終息しており、
再び超過死亡が発生した2月中旬以降は
新型コロナが影響した可能性がある。

感染研は

「集計は例年、
インフルエンザの流行が終わる3月末の死亡日までが対象。

入力期限の5月末以降でないと
今シーズン全体の分析はできない」

としている。

世界保健機関(WHO)は
感染症の影響を分析する指標として
超過死亡を推奨している。

肺炎以外を含む総死亡数は
厚生労働省が
人口動態調査で死亡数などを毎月集計。

都道府県からの報告は
省令で「翌々月の5日まで」と定められ、
公表は約2カ月後だ。

検査未確認の死亡数が
増えたとみられる4月分の公表は
6月下旬になる。

集計が遅いのは、
届け出の電子化が進んでいないこともある。

手書きの死亡届を受けた市区町村は
電子システムに入力して
保健所に送付するのに
「一定の期間が必要」(同省)なためだ。

欧米では
迅速な死亡数の集計・公開が進む。

3月以降、
感染が急拡大した米ニューヨーク市は、
死亡数をリアルタイムで把握する
電子統計報告システムを開発した。

市保健当局によると、
WHOがパンデミックを宣言した3月11日から
5月2日までの全死亡数は3万2107人。

過去5年と比較し、
2万4172人を
超過死亡と推定。

この間に
1万8879人が
検査などで感染を確認されており、

残り5293人(22%)も
「直接か間接的に
パンデミック関連で死亡した可能性がある」
と発表している。

欧米メディアは
公開データに基づき、
死亡数は
新型コロナで死亡したと報告された数より
5~6割程度多く、
超過死亡があると分析している。

英医学誌ランセットは
「週単位で超過死亡を把握することが
パンデミックの規模を評価して
適切な対策を打ち出すために
最も必要」

と指摘する。

第2波に備え、
検査の拡充や
感染症に応じた医療態勢の強化だけでなく、
データの公開が不可欠。

横浜市立大学の五十嵐中・准教授(医療経済)は

「迅速にデータを収集・公開し、
民間とも連携し
対策に役立ててほしい」

と訴える。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59508030U0A520C2NN1000/

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