マルフォード次官補が大蔵省を訪問し、大場財務官から市場介入の提案を受ける。
(1985年06月19日)6月、首相の決断を実行に移す好機がやってきました。
東京で、通貨制度の国際会議が開かれ、
アメリカの首脳がやってくるのです。
中曽根首相は、一人の官僚を官邸に呼びました。
通貨外交を担当する大蔵省の、大場智満財務官でした。
首相は、円高のための日米協議を検討するよう命じます。
しかし、大場財務官は、
円高・ドル安の実現は、難しいとみていました。
大場財務官は、円高にするには、日本とアメリカが
共に為替市場でドルを売り、円を買う、
市場介入が必要だと考えていました。
しかしアメリカは、
市場介入を、かたくなに拒み続けていました。
大場
「アメリカに変わってもらわなければいけないんじゃないかと。
しかし、我々が何もしないということではなくして、
我々も、できるだけのことはしましょうと。
こんな考え方だったわけですね。
ですけども、日本側に、
主たる理由があるわけではないと。」
しかし、アメリカは突然変化します。
6月19日、
ひとりのアメリカ財務省の高官が、大場財務官を訪ねてきました。
通貨外交を担当する(ディビッド・)マルフォード(財務)次官補です。
マルフォード次官補が、突然話を切り出します。
貿易不均衡を治す新たな政策協議を始めないか。
大場財務官は、すかさず提案します。
市場介入を協議してみてはどうだ。
即座に返事が返ってきました。
OK。財務長官に伝えよう。
大場
「弾力的な対応をしてるということがわかったんです。
つまり、アメリカの財務省の首脳のですね、介入についての考え方が、
変わってきたと。いうことに驚いたんですね。むしろ。」
そのわずか三日後、
ベーカー財務長官が竹下大蔵大臣を訪ねてきます。
-6月22日 竹下・ベーカー会談-
竹下蔵相は、ベーカー長官に、
ドルを安くしないかと説得しました。
意外にも、ベーカー長官は、
日本の提案に同意しました。
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