日米の貿易不均衡を是正するための次官級協議が始まる。

(1985年01月28日)

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1985年1月28日,
貿易不均衡を是正するための
日米両国次官級協議が始まり,

電気通信,木材,医療機器・医薬品,エレクトロニクスの
4分野について,

次官級の協議チームを発足させて
2年程度を目途に話し合うこと
などが合意された.

米側は

「交渉の成否は実際に
日本の輸入拡大がどれほどになるかだ」

と実績重視の姿勢を強調,
日本に市場開放を強く迫った.

日本側は

「日米貿易不均衡の背景には,
4分野の問題だけでなく,
ドル高や米側の輸出努力不足など,
他の要素もある.

全体像を見ながら議論をしよう」

と応じた.

協議方式については,
いくつかの分野を選んで
2国が協力しながら
市場開放作業を進めるやり方で,

以後,MOSS 協議(市場志向型個別協議)と呼ばれた.

しかし,1985年に入って
日本の貿易黒字がさらに膨らむと,

中曾根首相は
個別分野の協議だけでは
国際収支不均衡対策として
不十分であるとの認識を強めた.

6月22日に
ベーカー財務長官と会談したとき,
中曾根は
円高を進めることを決断するとともに,
ベーカーに対し

「日米 MOSS 協議のような
個別対策では限度があり,
秋に統合的根本的改革をやりたい」

と伝えた.

また,竹下蔵相と大蔵省に対し,

「貿易黒字削減については
個別的対策は限界になりつつある.

石油危機のときに
需要の総量規制削減を行ったが,
秋に円対策で
包括的政策をやらなければならなくなるので,
その勉強をするように話をした」

という.

中曾根首相は,
個人的ブレーンとの間でも意見交換しながら,
円高と国際収支不均衡是正に向けたプロセスについて
本格的な検討を進めた.(p.191-192)

http://www.esri.go.jp/jp/prj/sbubble/history/history_01/analysis_01_02_03.pdf

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