A、B、C、D案順で採決方針 臓器移植法改正、あすの衆院本会議で

(2009年06月17日)

004432009年06月17日朝刊政策総合00500818 臓器移植法改正をめぐり、衆院は16日の本会議で、A~Dの4案について再び討論を行った。いずれの案も可決の見通しが立っていないが、衆院議院運営委員会は同日の理事会で、臓器移植法改正案を18日の本会議で採決することを正式に決めた。採決方法は「A→B→C→D」案の提出順とする方針だ。
原則「脳死を人の死」と位置づけ、臓器提供要件を大幅に緩和するA案について、三原朝彦氏(自民)は「一人一人が患者の立場に立って改正の是非を論じることこそ、忠恕(ちゅうじょ)の精神にのっとるものだ」と訴えた。
臓器提供者の本人意思を重視するB案をめぐっては、佐藤茂樹氏(公明)が「自己決定権は基本的人権の一つ」と主張。提供可能年齢を12歳以上に限って引き下げた点について「段階的に着実に進めることで、小児医療の混乱を避け、長い目で見たときには提供を増やす」と述べた。
厳格な脳死判定を求めるC案に関連し、郡和子氏(民主)は、小児からの臓器提供解禁について、「脳死臨調を設置し、幅広く合意を得ることが回り道のように見えて近道」と慎重な議論を求めた。
A~Cの折衷案として、15歳未満は家族の同意などで臓器提供を可能にするD案に対しては、野田佳彦氏(民主)が「脳死が人の死と社会的に受容されているかは戸惑いがある。一足飛びではかえって不透明感、不信感を高める。第一歩を目指し改正すべきだ」と訴えた。
採決方法は、仮にA案が否決された場合、B、C、D案と一本ずつ提出順に採決していく。衆院議運委では、全案が否決された場合、「廃案にしない」と議決し、厚生労働委に差し戻して審議を続ける案を検討しているが、実現するかどうかは不透明だ。

●党議拘束かけず 社民
社民党は16日、衆院本会議で18日に臓器移植法改正案を採決する際、党議拘束をかけないことを決めた。理由について党幹部は「審議時間が少ないうえに人命にかかわる話で、議員の意思統一は適当ではない」と説明している。

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